はじめに
株式会社クイック(証券コード:4318)は、2023年10月31日に2024年3月期第2四半期の決算を発表しました。
クイックは第2四半期と第4四半期に決算説明資料も公開しています。今回も決算発表から1週間後に決算説明資料を公開しています。
この記事ではクイックの2Q決算内容と筆者独自の注目ポイントを交えて説明します。
詳細なIR情報は以下のクイックの公式ページをご確認ください。
株式会社クイックの概要
同社は人材サービス会社で、時価総額423億円(2023/11/22時点)、従業員数1,357人(2023/3時点)です。
主な事業や競合他社については過去の記事をご参照ください。
第2四半期の決算内容
同社は1Qに偏重する傾向があり、1Q決算では人材サービス事業などの進捗が芳しくなく、通期計画達成の不安から株価は10%以上下落しました。
しかし、2Qの決算は2Q計画の営業利益3,815百万円に対して4,030百万円の結果となり、好調さを示しました。
筆者は1Q決算発表後に2Qの進捗計画に変更がない理由を問い合わせ、人材サービス事業の業績拡大と海外事業の上振れがあるとの回答を得たため、今回の決算は予想通りと評価しています。
中期計画ではリクリーティング事業の売り上げを伸ばして全体の業績に貢献する見通しをしていました。
中期計画ではリクルーティング事業の売上増を通じて全体の業績向上を見込んでいましたが、2Qまでの進捗からはリクルーティング事業が計画を下回り、通期計画の変更があることが明らかになりました。
ただし、情報出版事業や海外事業は計画を上回る営業利益の見通しであり、全体の通期見通しは据え置かれています。
営業利益(百万円) | 2Q累計実績 | 通期計画 | 進捗率 | 同社見通し |
---|---|---|---|---|
人材サービス事業 | 3,801 | 4,259 | 98.2% | 計画通り |
リクルーティング事業 | 189 | 840 | 22.5% | 計画下回る |
情報出版事業 | 201 | 231 | 87.0% | 計画上回る |
HRプラットフォーム事業 | 290 | 655 | 44.3% | 計画下回る |
海外事業 | 158 | 130 | 122.5% | 計画上回る |
注目ポイント
筆者は賃借対照表の負債の中で賞与引当金に注目しました。
1Q時点では昨年度と同額程度を計上していましたが、2Qでは302百万円と664百万円も昨年度より少なく計上されています。
一般的に企業業績によって賞与が増減するため、クイックの進捗があまり芳しくないことが示唆されます。
下期では1,000百万円程度の営業利益を達成すればよく、2023年3月期の賞与引当金は1,445百万円であったことから、同社の進捗によってはこの賞与引当金で調整が行われる可能性が考えられます。
今期は問題なさそうですが、同社は人材への投資による事業基盤の強化も進めており、今後の成長において人材流出がポイントとなりそうです。
賞与引当金(千円) |
1Q | 2Q |
---|---|---|
2023年3月期 | 146,932 | 966,252 |
2024年3月期 | 147,288 | 301,796 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、株式会社クイックの2024年3月期第2期四半期報告書に基づく決算内容と筆者の注目ポイントを紹介しました。
通期業績予定は据え置かれていますが、リクルーティング事業の不振や人材の待遇改善によっては、来期以降の成長が鈍化する可能性があると考察されます。
投資は自己判断でお願いします。
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