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【企業分析|8011三陽商会】PBR改善計画と業績修正を発表しました

はじめに

株式会社三陽商会証券コード:8011)は、2023年10月6日11時に2024年2月期第2四半期の決算を発表しました。この発表は場中に行われ、同時に業績修正とPBR改善計画も発表されたため、その日の内に同社の株価はストップ高となりました。

この記事では、三陽商会の決算内容に加え、筆者独自の注目ポイントを交えて解説します。詳細なIR情報は三陽商会の公式ページをご確認ください。

www.sanyo-shokai.co.jp

三陽商会の事業概要

三陽商会は、時価総額285億円(2023年10月6日時点)、従業員数1,179人(2023年2月時点)を擁するファッションアパレルメーカーです。過去にはイギリスのファッションブランド「バーバリー社」とのライセンス契約を持ち、バーバリーブランドの販売も行っていましたが、その契約は2015年に終了しました。三陽商会は現在、自社ブランドを含む7つのブランドを展開しています。

第2四半期の決算内容

同社の第2四半期累計売上高は281.5億円、営業利益は7.1億円、純利益は7.4億円となっています。月次の販売実績を見ると、3月から8月までの期間で前年比売上が増加しており、順調な成績を収めています。

この好調な結果には、人流の増加やインバウンド需要の拡大が主力の百貨店などの実店舗への集客を回復させたこと、各種イベントの復活によるオケージョン対応商品の需要増、さらに設立80周年の記念商品の投入が貢献しました。春夏物のプロパー商材が期待を上回る売上高を達成した背後にはこれらの要因があります。

ただし、9月は盛夏商品の好調に対照的に、秋冬物の初動が鈍く、リアル店舗販売が前年並みにとどまり、ECサイトのリニューアルに伴う稼働停止期間があったことから、EC売上が前年比で大幅に減少し、全体的な業績は前年を下回りました。アパレル市況も全国的に残暑が続いたため、秋冬物の稼働が伸び悩み、他の服飾メーカーも同様に低調な結果を報告しています。

決算内容

決算内容(引用:三陽商会IR資料)

上方修正

同社は第2四半期の発表と同時に業績上方修正も発表しました。売上高は人流回復やインバウンド需要の拡大、外出機会増加、各種イベントの復活、記念商品の投入などにより、前回の予想を上回る結果となりました。利益についても、プロパー販売の強化と値引き販売の抑制が計画通りに進展し、販管費が予想を下回ったことから、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益も前回予想を上回りました。

さらに、配当予想についても変更があり、中期経営計画で設定された2024年2月期の株主還元目標をDOE(株主資本配当率)2%からDOE 3%に引き上げました。これに伴い、2024年2月期の期末配当予想も1株当たり59円から29円増配の88円に修正されました。

PBR改善計画

三陽商会は業績発表と同時に「PBR改善計画」を発表しました。この計画では、PBRの改善を図るために、ROE株主資本利益率)の改善とPER(株価収益率)の向上に向けた具体的な施策を策定・実行することが含まれています。現時点でのPBRは0.69倍(2023年10月6日現在)です。

具体的な目標として、ROEは株主資本コストを上回る8.5%、営業利益は中期経営計画に定めた43.8億円、営業利益率は7%、DOEは4%を設定しています。

PBR改善

PBR改善(引用:三陽商会IR資料)

筆者の着目ポイント

同社は今回の上方修正で第2四半期の営業利益が200百万円から718百万円(259%増加)に上方修正されましたが、1Qの時点で既に1,035百万円の利益を計上していたため、この上方修正は予想通りだった可能性が高いです。むしろ、2Qの営業利益が-317百万円となっていたことに注目が必要です。

1Qの売上に対する販管費率は56%であり、2Qの販管費率は63%です。1Qベースの販管費率56%を基準とすると、2Qの販管費が885百万円増加したことが分かります。この販管費の増加が持続的であれば、今後の利益率は伸び悩む可能性があります。

現在の計画では、販管費が35,400百万円、売上高が64,500百万円の予想となっており、販管費率は58%です。この点から2Qの販管費率が63%だったことが大きな影響を及ぼしていることがわかります。

販管費の推移(引用:三陽商会IR資料)

販管費の推移

2Q累計の販管費実績の内訳を確認すると、ベア実施などによる販管費の増加が約1.5億円程度であることが分かります。また、株主総会でベア実施の拡充を計画していたことから、この増加は予測通りのものと思われます。その他の販管費に関しても、決算資料からは予定通りの計上と思われます。

株主総会の様子もレポートしています。

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利益進捗率については、上方修正後の経常利益進捗率が24.6%と厳しく見えますが、アパレル業界は季節性があるため、寒冷な秋・冬に向けた衣料品の売り上げが増加する傾向があります。昨年度の3Qの営業利益が1,345百万円、4Qの営業利益が1,207百万円であったことから、3Qから4Qにかけて2,552百万円の利益が計上されました。したがって、昨年度の利益を実現できれば今期の目標を達成する見込みです。また、同社は月次の売上データを公開しており、これを活用して今後の予測を立てる手助けができるでしょう。

進捗率

進捗率(引用:マネックス証券

最後に、三陽商会の基本方針として、中期経営計画の売上と利益計画に対して必達を期す姿勢が示されています。この「必達」は強力な指針であり、経営陣の決意が伺えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。本記事では、株式会社三陽商会の2024年2月期第2四半期報告書に基づく決算内容と筆者の注目ポイントを紹介しました。

三陽商会は、積極的な経営姿勢を示し、業績の持続的な改善と株主還元の向上を図るための計画を進めていることが伺えます。今後の市況や競合他社の動向にも注目が必要です。

同社は10月20日~22日まで株主限定の優待セールが開催予定ですので、その内容も次回お伝えしたいと思います。

投資は自己判断でお願いします。

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