はじめに
2023年8月4日にジャパンワランティサポート株式会社(証券コード:7386)が2023年9月期第3期半期報告書で決算を発表しました。この記事ではジャパンワランティサポート(以下、JWS)の決算内容とともに筆者独自の注目ポイントを交えて説明します。詳しく知りたい方は以下のJWSのIR情報を確認してください。
ジャパンワランティサポートの概要
JWSは、家電や住宅設備機器を製造又は販売する住宅設備供給事業者と提携し、住宅設備機器の延長保証事業を展開している BtoBtoCの事業形態です。JWSは住宅設備機器の故障による修理対応や不具合の解決を事業者に代わり行います。住宅設備機器のメーカー保証期間は通常1~2年ですが、JWSはメーカー保証期間を含む最長10年にわたってサービスを提供しています。競合他社として日本リビング保証(証券コード7320)があげられます。
第3四半期の決算内容
上方修正
JWSは第3四半期の決算発表と同時に通期業績予想の上方修正の発表もしています。3Qまでの好業績と4QでのBPO事業の大幅拡大を見込んでおり、売上高は期初計画比で+3%増と控えめですが、営業利益は期初計画比で+19%と大幅に増加する予想としています。この増加の要因としては、売上原価となる外注費の抑制とDX推進に伴う経費の抑制が進んでいることにあります。
単位:百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
---|---|---|---|
期初計画 | 1,711 | 603 | 659 |
上方修正後 | 1,765 | 715 | 760 |
期初計画比 | +54(+3%) | 112(+19%) | 101(+15%) |
第3四半期のトピックス
事業拡大
事業の柱となっている住宅設備延長保証、BPOにおいて大手企業との業務委託契約が確定したため、4Q以降に大幅な業績拡大が期待されます。また、住宅設備延長保証に続く収益の柱として、独自ノウハウを持つ自社コールセンター、アドミ業務全般の対応が可能なバックヤードを活用したBPO事業を拡大する計画です。
KPI
JWSはKPIとして有効会員数を目標として設定しています。前年同期比で約154万件(118%増)となり、提携企業数の増加と新規会員数の増加により今後も継続的な増加が期待されます。また、リユース修理サポートの拡大により低単価の顧客が増える一方で、パック保証が拡大することで高単価の収益も維持していることがわかります。
営業外収益
JWSは3Qより収益不動産の運用による家賃収入を得ています。また、有価証券等の運用により営業収益を強化しています。今後も運用資産の取得等を積極的に検討し、営業外収益の底上げを見込んでいます。営業外収益は2022年9月期の6百万円から2023年9月期は41百万円と大幅に増加しております。私はこの営業外収益によっては更なる利益の増加が見込まれる可能性があると考え、本記事の注目ポイントとして深堀りしたいと思います。
筆者の注目ポイント
私は営業外収益に注目しています。
2023年9月期の営業外収益は41百万円と営業利益483百万円と比較しても比較的営業外収益の割合が多いような印象を受けています。ただし、投資有価証券の売却益や投資不動産賃貸料など、一過性の要因が含まれることも考慮すべきです。営業外収益の持続性については決算短信などから読み解く必要があります。
2023年度の第1四半期から第3四半期の決算短信のうち賃借対照表と収益計算書から営業外収益に大きく関わってくるのは投資有価証券と投資有価証券売却益であることが分かります。営業外収益41百万円のうち投資有価証券の売却益が28.4百万円(69%)、投資不動産賃貸料が5.6百万円(14%)です。投資有価証券の売却益は以下の表の通り、四半期によってばらつきがあります。
決算短信によると1Qの売却益は上場株式の売却のよる利益で1Qから2Qで投資有価証券が増加しているのは社債の購入によるもののようです。決算説明資料によると3Qの投資有価証券売却益が多いのは有価証券等の運用収益が拡大したことによる影響と推定できます。経営方針として有価証券等の運用を積極的に検討するとのことですので、3Qはその結果が出たということになります。2Qのように売却益が少なかったこともあるので、継続的に利益を出すのかは定かではなさそうです。皆さんも株式投資を経験されているのであれば、なんとなくイメージはつくのではないでしょうか。
単位:千円 | 1Q | 2Q | 3Q |
---|---|---|---|
投資有価証券(累積) | 836,552 | 1,103,451 | 1,108,747 |
投資有価証券売却益(単独) | 8,661 | 69 | 19,670 |
3Qより新規に計上された投資不動産賃貸料5.6百万円は継続して利益が出るものと思われます。ただし、2023年3月27日の「固定資産の取得に関するお知らせ」を確認すると、業績予想に織り込んでいるとのことです。取得の目的は住宅設備機器の延長保証事業及び新サービスに関するデータ取得、ニーズ調査等のプレマーケティングを行い、事業を拡大させるための一施策とのことです。住所情報を確認すると、ワンルームマンションのようでした。データ取得等が主となる目的ですので、投資不動産による利益は主軸にはならないと読み取れます。
以上より、営業外収益は一過性によるものと考えられますので、投資をする上では本業の利益の推移をしっかり確認する必要があると思われます。利益が上振れば儲けもの程度に考えておいた方がよいでしょう。
今後
上方修正によりEPSが187円から225円となり、PERの最大値が20倍程度なのでEPS225円×PER20倍=株価4,500円くらいまでは行く可能性があると考察しています。また、来期以降は私が以前書いた記事の通り、平均単価の上昇も見込まれる可能性があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、ジャパンワランティサポート株式会社(JWS)の2023年9月期第3期半期報告書に基づく決算内容と筆者の注目ポイントを紹介しました。
JWSは今回の決算で上方修正を発表しました。KPIである有効会員数は継続的に増加が見込まれます。また、決算資料より営業外収益は一過性のものと思われます。今後も有効会員数の増加と平均単価の上昇が予想される場合は株価も伸びるのではないでしょうか。
投資は自己判断でお願いします。
あなたは決算内容のどこにに注目していますか?ぜひコメントやシェアをお寄せください。